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SUシリーズ コンタクタ完全ガイド:選定・配線・トラブルシューティングの全て
SUシリーズ コンタクタの選定から配線、トラブルシューティングまで、現場で役立つ全てを網羅した完全ガイドです。電磁接触器としての基本知識から、定格電流やモーター容量に応じた正しい選び方、安全な配線方法、そしてよくある故障事例とその解決策まで、この一台を使いこなすために必要な情報を徹底解説。産業機械やビル設備で不可欠なSUシリーズ コンタクタの疑問を解決し、最適な運用を実現するための決定版となるでしょう。
1. SUシリーズ コンタクタとは その基礎知識
SUシリーズ コンタクタは、産業機械やビル設備などの幅広い分野で電力回路の開閉を担う、三菱電機製の高性能な電磁接触器シリーズです。 主にモーターやヒーターといった大きな電力消費を伴う負荷機器を、制御回路からの信号によって遠隔で、あるいは自動的にオン・オフするために使用されます。このシリーズは、高い信頼性と耐久性を持ち合わせ、多様な用途に対応できる豊富なラインナップが特徴です。
本章では、SUシリーズ コンタクタが電磁接触器としてどのような役割を果たすのか、その基本的な機能とメリット、そして主要な製品ラインナップについて詳しく解説します。
1.1 電磁接触器としてのSUシリーズ コンタクタの役割
SUシリーズ コンタクタは、その名の通り「コンタクタ(接触器)」であり、電磁石の原理を利用して主回路の接点を開閉する電気機器です。一般的なスイッチとは異なり、微弱な制御信号(コイルへの通電)によって、大電流が流れる主回路を安全かつ確実に遮断・投入できる点が最大の特徴です。
その主な役割は以下の通りです。
電力回路の開閉: モーターやヒーター、照明など、大きな電流が流れる負荷機器への電力供給をオン/オフします。特に、頻繁な開閉動作が求められる産業用途において、高い耐久性を発揮します。
遠隔操作・自動制御: PLC(プログラマブルロジックコントローラ)や各種センサーからの信号を受け、離れた場所から負荷機器を操作したり、自動的に制御システムに組み込んだりすることを可能にします。これにより、作業の効率化と自動化に貢献します。
安全性の確保: 設備の異常時や緊急停止時などには、迅速に主回路を遮断し、機器の損傷防止や作業者の安全を確保する役割も担います。過負荷保護装置(サーマルリレーなど)と組み合わせることで、より高度な保護機能を提供します。
モーターの正逆転制御: 2台のコンタクタを組み合わせることで、モーターの回転方向を切り替える正逆転制御が可能です。この際、誤動作による短絡を防ぐためのインターロック機構が重要となります。
SUシリーズ コンタクタは、これらの役割を高いレベルで実現するために設計されており、産業現場における電力制御の中核を担う重要なコンポーネントと言えます。
1.2 SUシリーズ コンタクタの主な特徴とメリット
三菱電機のSUシリーズ コンタクタは、長年にわたる実績と技術革新により、多くのユーザーから信頼を得ています。その主な特徴と、それらがもたらすメリットを以下に示します。
これらの特徴により、SUシリーズ コンタクタは、産業用モーター制御、空調設備、照明制御、ヒーター制御など、幅広いアプリケーションでその真価を発揮し、システムの安定稼働と効率的な運用に不可欠な存在となっています。
1.3 主要なSUシリーズ コンタクタのラインナップと型式
SUシリーズ コンタクタは、その用途や機能に応じて多岐にわたる製品が展開されています。ここでは、主要な型式とその特徴について解説します。
1.3.1 標準型SUシリーズ コンタクタ
標準型コンタクタは、最も一般的に使用されるタイプで、モーターの始動・停止や抵抗負荷の開閉など、幅広い用途に対応します。
高い汎用性とコストパフォーマンスが特徴で、産業機械の基本的な制御回路において中心的な役割を担います。
1.3.2 可逆型 コンタクタ
可逆型コンタクタは、モーターの正転・逆転といった、負荷の回転方向を切り替える用途に特化したタイプです。2台のコンタクタを一体化させ、機械的および電気的なインターロック機構を内蔵している点が特徴です。これにより、同時に投入されることによる短絡事故を防ぎ、安全性を確保します。エレベーター、クレーン、搬送装置など、モーターの方向制御が必要な設備で広く利用されています。
安全かつ確実なモーターの方向制御を実現し、複雑な配線なしでシステム構築が可能です。
1.3.3 特殊用途向けSUシリーズ コンタクタ
標準型や可逆型では対応しきれない、特定の環境や機能要求に応えるために、SUシリーズにはさらに多様な特殊用途向けコンタクタが存在します。
直流用コンタクタ: 直流電源で動作するモーターやソレノイドなどの負荷開閉に特化しています。直流回路特有のアーク消弧能力を高めた設計がされています。
低サージコンタクタ: 電源投入時に発生する突入電流(サージ)を抑制する機能を持ち、特にコンデンサ負荷やLED照明などの開閉に適しています。これにより、機器への負担を軽減し、寿命を延ばします。
補助接点増設タイプ: 標準の補助接点数では足りない場合に、追加の補助接点ブロックを容易に取り付けられるように設計されたタイプです。制御回路の複雑化に対応します。
耐環境型コンタクタ: 粉塵の多い場所、高湿度環境、振動の激しい場所など、過酷な設置環境に対応できるよう、保護構造や耐振動性能を強化した製品です。
高頻度開閉用コンタクタ: 通常のコンタクタよりもはるかに多い開閉回数に耐えるよう、接点材料や機構が強化されています。半導体製造装置や試験装置など、頻繁な動作が求められる用途に適しています。
これらの特殊用途向けコンタクタは、特定のアプリケーションにおける性能向上や信頼性確保に貢献し、システムの最適化を可能にします。
2. SUシリーズ コンタクタの正しい選定方法
SUシリーズ コンタクタを導入する際、その性能を最大限に引き出し、安全かつ安定した運用を実現するためには、適切な選定が極めて重要です。誤った選定は、機器の早期故障、予期せぬトラブル、さらには重大な事故につながる可能性があります。この章では、お客様の用途や環境に最適なSUシリーズ コンタクタを選定するための具体的な基準とポイントを詳しく解説します。
2.1 用途に応じたSUシリーズ コンタクタの選定基準
SUシリーズ コンタクタの選定は、まずその用途と接続される負荷の種類を明確にすることから始まります。負荷の種類によって、必要な定格や機能が大きく異なるため、以下の基準を総合的に考慮して最適な機種を選びましょう。
2.1.1 定格電流と定格電圧の選び方
コンタクタの選定において最も基本的な要素が、定格電流と定格電圧です。これらはコンタクタが安全に開閉できる最大電流と電圧を示します。
定格電流の選定
接続する負荷の定格電流値を基準に選びます。特にモーターなどの誘導性負荷では、起動時に定格電流の数倍にもなる突入電流が発生するため、これに耐えうる電流容量を持つコンタクタを選定する必要があります。一般的に、モーター負荷の場合は定格電流に対して1.2~1.5倍程度の余裕を持たせたコンタクタを選定することが推奨されます。ヒーターなどの抵抗負荷では突入電流が小さいため、定格電流に近い値で選定可能です。定格電圧の選定
主回路電圧(負荷に供給される電圧)と制御回路電圧(コイルを励磁する電圧)の二つを考慮します。SUシリーズ コンタクタのコイル電圧は、複数の種類があるため、電源電圧と一致させる必要があります。主回路電圧は、接続するモーターやヒーターなどの負荷の電源電圧に適合するものを選定します。
以下の表は、一般的な負荷の種類と定格電流選定の目安を示しています。
2.1.2 適用モーター容量と過負荷保護
モーターを制御する場合、SUシリーズ コンタクタはモーターの定格出力(kW)に応じて選定されます。メーカーは、各コンタクタの型式ごとに適用可能なモーター容量を公表していますので、これを参照することが最も確実です。
2.1.3 接点構成と補助接点の選び方
SUシリーズ コンタクタの接点構成は、主回路の開閉に必要な主接点と、制御回路に使用する補助接点に分けられます。
主接点
主接点の極数は、接続する電源の相数と負荷の種類によって決定されます。補助接点
補助接点は、主接点の開閉状態に応じて動作する接点で、制御回路の自己保持、インターロック、表示灯の点灯、他の機器への信号出力などに使用されます。SUシリーズ コンタクタには、標準で補助接点が付いているものや、オプションで追加できるものがあります。回路設計に必要なa接点(常開)とb接点(常閉)の数を事前に確認し、適切な補助接点数を持つコンタクタ、または増設可能なコンタクタを選定しましょう。
3. SUシリーズ コンタクタの配線と設置ガイド
SUシリーズ コンタクタを安全かつ効率的に運用するためには、正しい配線と適切な設置が不可欠です。電気設備におけるコンタクタの機能は、単に電気をON/OFFするだけでなく、システム全体の安定稼働と安全性を左右します。この章では、SUシリーズ コンタクタの基本的な配線方法から、補助接点や関連機器との接続、そして安全な取り付けと設置場所の選定について、実践的なガイドを提供します。
3.1 SUシリーズ コンタクタの基本的な配線方法
SUシリーズ コンタクタの配線は、大きく分けて主回路配線と制御回路配線の二つに分類されます。それぞれの回路が担う役割を理解し、適切な方法で接続することが重要です。
3.1.1 主回路配線のポイント
主回路は、実際にモーターなどの負荷に電力を供給する部分であり、高い電流が流れるため、特に安全性が求められます。SUシリーズ コンタクタの主接点に、電源側と負荷側を接続します。
電線サイズの選定: 接続する負荷の定格電流と、コンタクタの定格電流に応じて、適切な太さの電線を選定してください。電線が細すぎると発熱や電圧降下の原因となり、火災や機器の故障につながる可能性があります。
端子への確実な接続: 電線の被覆を適切に剥き、端子に確実に挿入し、ネジを指定トルクでしっかりと締め付けてください。接続が緩いと、接触不良による発熱やスパークの原因となります。
3.2 補助接点や関連機器との接続
SUシリーズ コンタクタは、単体で使用されるだけでなく、様々な補助接点や周辺機器と連携することで、より高度な制御システムを構築できます。これらの接続を理解することは、システムの信頼性と機能性を高める上で非常に重要です。
補助接点(NO/NC)の活用:
SUシリーズ コンタクタには、標準で補助接点(常開:NO、常閉:NC)が内蔵されているモデルや、オプションで追加できる補助接点ユニットがあります。これらは主接点の開閉状態に連動して動作し、以下のような用途に利用されます。自己保持回路: 前述の通り、押しボタンスイッチと組み合わせて、一度押すとON状態を保持するために使われます。
表示灯: コンタクタのON/OFF状態を表示灯で知らせるために、NO接点やNC接点を利用します。
インターロック: 複数のコンタクタが同時に動作しないように、NC接点を用いて安全回路を構成します。
外部機器への信号出力: コンタクタの動作状態をPLCや他の制御機器に信号として送るために利用されます。
補助接点の定格電流・電圧も確認し、接続する負荷に適していることを確認してください。
サージ吸収器(サージキラー):
コンタクタのコイルは、OFFになる瞬間に高い誘導電圧(サージ電圧)を発生させることがあります。このサージ電圧は、制御回路内の他の電子機器(PLC、センサーなど)に悪影響を与えたり、ノイズの原因となることがあります。これを抑制するために、コイルの端子間にサージ吸収器(ダイオード、バリスタ、CR回路など)を接続することをお勧めします。これにより、機器の誤動作や故障のリスクを低減できます。表示灯・操作スイッチ・非常停止スイッチなど:
制御盤内には、コンタクタの動作状態を示す表示灯、手動でON/OFFを切り替える操作スイッチ、緊急時に回路を遮断する非常停止スイッチなど、様々な関連機器が配置されます。これらの機器も、適切な電線サイズと接続方法で制御回路に組み込む必要があります。特に非常停止スイッチは、常に最優先で回路を遮断できるよう、安全回路の要として配置してください。
3.3 SUシリーズ コンタクタの安全な取り付けと設置場所
SUシリーズ コンタクタを適切に取り付け、適切な場所に設置することは、その性能を最大限に引き出し、長寿命化を図る上で極めて重要です。また、作業者の安全を確保するためにも、正しい手順と注意点を守る必要があります。
取り付け方法:
SUシリーズ コンタクタは、一般的に以下の方法で制御盤内に取り付けられます。ネジ止め: 一部の大型コンタクタや、より強固な固定が必要な場合は、製品に設けられた取り付け穴を利用してネジで直接盤面に取り付けます。ネジは緩みがないようしっかりと締め付けてください。
いずれの方法でも、コンタクタが水平または垂直に、安定して固定されていることを確認してください。傾きや振動は、接点の接触不良や寿命短縮の原因となることがあります。
設置場所の考慮事項:
SUシリーズ コンタクタの性能と寿命は、設置環境に大きく左右されます。以下の点に注意して設置場所を選定してください。周囲温度: コンタクタには動作保証される周囲温度範囲が指定されています。この範囲内で使用されることを確認し、過度な高温や低温になる場所は避けてください。特に、盤内の放熱設計が不十分だと、内部温度が上昇し、コンタクタの寿命を著しく縮める可能性があります。
湿度: 結露が発生するような高湿度の場所は避けてください。結露は絶縁不良や金属部品の腐食を引き起こし、故障の原因となります。
振動・衝撃: 機械的な振動や衝撃が少ない場所に設置してください。振動が激しいと、接点のチャタリング(微小な開閉)や部品の緩み、破損につながることがあります。
粉塵・腐食性ガス: 導電性の粉塵や腐食性ガスが発生する環境では、密閉性の高い制御盤に収納するなどの対策を講じてください。これらは接点不良や絶縁劣化の原因となります。
スペース: コンタクタの周囲には、十分な放熱スペースとメンテナンススペースを確保してください。特に、複数台のコンタクタを並べて設置する場合、隣接する機器との間に適切な間隔を設けることが重要です。
配線作業時の安全対策:
配線作業は電気を取り扱うため、常に安全を最優先に行う必要があります。電源遮断: 作業を開始する前に、必ず主電源を遮断し、再投入されないようにロックアウト・タグアウト(LOTO)などの措置を講じてください。
保護具の着用: 作業中は、絶縁手袋や安全メガネなどの適切な保護具を着用してください。
工具の絶縁: 使用する工具は、絶縁処理が施されたものを使用してください。
これらの安全対策を徹底することで、事故のリスクを最小限に抑えることができます。
4. SUシリーズ コンタクタの運用と保守のポイント
SUシリーズ コンタクタは、重要な部品です。その安定した性能を維持し、長期間にわたって安全に運用するためには、適切な運用管理と定期的な保守が不可欠です。ここでは、コンタクタの寿命を延ばし、予期せぬトラブルを防ぐための具体的なポイントを解説します。
4.1 長寿命化のためのSUシリーズ コンタクタの運用管理
SUシリーズ コンタクタの寿命は、その使用環境や運用方法に大きく左右されます。適切な運用管理を行うことで、コンタクタの性能を最大限に引き出し、長寿命化を実現できます。
開閉頻度の管理: コンタクタの寿命は、開閉回数によって定格が定められています。過度な頻度での開閉は、接点の摩耗を早め、寿命を著しく縮める原因となります。可能な限り、無駄な開閉を避け、定格開閉回数を超えないように運用計画を立てることが重要です。
定格範囲内での使用: SUシリーズ コンタクタは、それぞれ定格電流、定格電圧、適用モーター容量が定められています。これらの定格を超えた過負荷での使用は、コイルの焼損や接点の溶着、絶縁劣化など、重大な故障に直結します。必ず選定時に確認した定格範囲内で使用してください。
負荷の種類への配慮: 抵抗負荷、誘導負荷、容量性負荷など、接続される負荷の種類によって、コンタクタに加わる負担は異なります。特に、モーターなどの誘導負荷の開閉時には、大きな突入電流や逆起電力が発生しやすいため、適切なサージ対策や、誘導負荷に適したコンタクタの選定が長寿命化には不可欠です。
周囲温度の管理: コンタクタは、周囲温度が高い環境下で使用すると、コイルの温度上昇や接点の劣化が加速し、寿命が短くなります。設置場所の換気を良くし、定格周囲温度範囲内で使用するよう心がけてください。特に盤内設置の場合は、放熱対策が重要です。
電圧変動の抑制: 制御電圧の過度な変動は、コイルの励磁不良や過熱を引き起こす可能性があります。安定した電源供給を確保し、電圧変動を最小限に抑えることが、コンタクタの安定動作と長寿命化に寄与します。
4.2 定期的な点検とメンテナンス
SUシリーズ コンタクタの安定稼働を維持し、予期せぬダウンタイムを避けるためには、計画的な定期点検とメンテナンスが不可欠です。早期に異常を発見し対処することで、大きなトラブルへの発展を防ぎます。
以下に、主な点検項目とポイントを示します。
点検作業を行う際は、必ず設備の電源を遮断し、残留電荷がないことを確認してから作業を開始してください。専門知識を持った担当者が、適切な工具と安全手順に従って実施することが重要です。
これらの運用管理と定期的な点検・メンテナンスを徹底することで、SUシリーズ コンタクタは本来の性能を長く維持し、設備の安定稼働に貢献します。
5. SUシリーズ コンタクタのトラブルシューティング
SUシリーズ コンタクタは、重要な役割を担う制御機器ですが、長期間の使用や特定の条件下でトラブルが発生することがあります。トラブルシューティングは、機器の安定稼働を維持し、予期せぬダウンタイムを防ぐために不可欠です。ここでは、SUシリーズ コンタクタで発生しうる一般的な問題とその解決策について詳しく解説します。作業を行う際は、必ず安全を最優先し、電源を遮断した状態で行ってください。
5.1 SUシリーズ コンタクタが動作しない場合のチェックポイント
コンタクタが正常に動作しない場合、原因は多岐にわたります。以下のチェックポイントを順に確認することで、問題の特定と解決に役立てることができます。
5.2 異音や過熱が発生した場合の対処法
SUシリーズ コンタクタから異常な音や過度な発熱がある場合、放置すると故障や火災に繋がる可能性があるため、迅速な対応が求められます。
5.2.1 異音(唸り音、ブーン音)が発生する場合
交流コンタクタの場合、コイルに通電すると微細な唸り音(交流ハム音)が発生しますが、これが大きすぎる場合や異常な音がする場合は問題です。
原因:可動鉄心と固定鉄心の吸着不良、鉄心の間に異物が挟まっている、コイルの定格電圧と供給電圧が一致していない、鉄心の継ぎ手部分の汚れや錆。
対処法:
コイルの供給電圧が定格値であることを確認します。電圧が低すぎると吸着力が弱まり、唸り音が大きくなります。
電源を遮断し、鉄心の吸着面に異物がないか確認し、清掃します。
鉄心の変形や損傷がある場合は、コンタクタ本体の交換が必要です。
5.2.2 過熱が発生する場合
コンタクタのコイルや接点部分が異常に熱を持つ場合、以下の原因が考えられます。
原因:コイルの定格電圧と供給電圧の不一致(高すぎる場合)、コイルの絶縁劣化、主接点の接触不良、過電流、設置環境の換気不良。
対処法:
コイルの供給電圧が定格範囲内であることを確認します。
主回路の電流がコンタクタの定格電流を超えていないか確認します。過電流が原因であれば、負荷の見直しやより大容量のコンタクタへの交換を検討します。
電源を遮断し、主接点の接触面が焼損や汚れで接触不良を起こしていないか確認します。接触不良は発熱の原因となります。
設置場所の温度が高すぎないか、または通風が十分であるかを確認します。必要に応じて換気対策を講じます。
コイルや接点の劣化が進行している場合は、コンタクタの交換が必要です。
5.3 接点不良や焼損の対策
コンタクタの接点は、電流の開閉を繰り返すことで消耗する部品です。接点不良や焼損は、回路の不安定化、機器の誤動作、最悪の場合には火災の原因にもなり得ます。
接点焼損の原因:
過電流:定格電流を超える電流が流れることによる過度なアーク放電。
頻繁な開閉:開閉回数が多すぎると、接点の消耗が早まります。
不適切な負荷:誘導性負荷(モーターなど)の開閉時に発生する高電圧サージがアークを大きくします。
短絡電流:短絡事故時に流れる大電流による瞬間的な溶着。
対策:
適切な定格の選定:使用する負荷の電流、電圧、種類(抵抗性、誘導性)に合わせて、適切な定格のSUシリーズ コンタクタを選定します。
サージ吸収器の設置:誘導性負荷を制御する場合、コイルやモーターから発生する逆起電圧(サージ)を抑制するために、RC吸収器やバリスタなどのサージ吸収器を並列に接続します。これにより、アークの発生を抑え、接点の寿命を延ばすことができます。
開閉頻度の管理:コンタクタには機械的寿命と電気的寿命があります。特に電気的寿命は開閉回数と負荷の種類に大きく依存するため、過度な頻度での開閉は避けるようにします。
定期的な点検と清掃:接点表面の汚れや酸化膜は接触抵抗を増加させ、発熱や焼損の原因となります。定期的に電源を遮断して目視点検し、必要に応じて清掃します。ただし、研磨は接点寿命を縮める可能性があるため、軽度な汚れに留めるか、交換を検討します。
接点の交換:接点の摩耗や焼損が進行している場合は、コンタクタ本体または交換可能な接点部品の交換が必要です。
5.4 よくあるSUシリーズ コンタクタの故障事例と解決策
SUシリーズ コンタクタでよく見られる故障事例とその解決策をまとめました。これらの事例を参考に、迅速なトラブルシューティングを行ってください。
6. まとめ
本ガイドでは、SUシリーズ コンタクタの基礎知識から、適切な選定、安全な配線・設置、効率的な運用・保守、さらには具体的なトラブルシューティング、応用事例までを網羅的に解説しました。SUシリーズ コンタクタは、モーター制御やヒーター制御など、多様な電気回路の開閉に不可欠な基幹部品です。その性能を最大限に引き出し、システムの安定稼働と安全性を確保するためには、本記事で示した選定基準や配線方法、定期的な点検が極めて重要です。これらの知識を実践することで、設備の長寿命化と効率的な運用を実現し、予期せぬトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
企業情報
DCシリーズ
ED・SD・SU・Busbarシリーズ
企業情報
オルブライト・ジャパン
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- 〒353-0004
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ED・SD・SU・Busbarシリーズ
- DCコンタクタの輸入販売
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