Informaiton

コスト削減と安全を両立!ディスコネクトスイッチ SDシリーズの導入事例と効果を公開

2025/06/24


制御盤のコスト削減と安全性向上は両立できます。その鍵となるのがIDECのディスコネクトスイッチ SDシリーズです。本記事では、盤内の省スペース化や確実なロックアウト機能といったSDシリーズの特長が、なぜコストと安全の課題を同時に解決できるのかを、具体的な導入事例を交えて徹底解説します。最適な製品の選び方から従来品との違いまで、導入検討に必要な情報が全てわかります。

ディスコネクトスイッチ SDシリーズが解決する制御盤の課題

FA(ファクトリーオートメーション)化の進展や設備の高機能化に伴い、制御盤の設計・製造現場では、日々新たな課題に直面しています。特に、コスト、スペース、安全性、そしてグローバル対応といった要素は、企業の競争力に直結する重要なテーマです。従来の配線用遮断器(ブレーカー)を中心とした盤設計では、これらの課題を同時に解決することが難しくなってきています。

多くの設計者や保全担当者が抱える、制御盤にまつわる代表的な「悩み」を以下に整理しました。これらは、ディスコネクトスイッチ SDシリーズが解決の糸口となる課題です。

肥大化する制御盤と高まるコスト圧力

設備に求められる機能が増えるほど、制御盤内に搭載されるコンポーネントは増加の一途をたどります。特に、動力回路や操作回路ごとに設置される配線用遮断器(NFB/MCCB)は、盤内のスペースを大きく占有する要因の一つです。その結果、次のような問題が発生します。

  • 盤の大型化とコスト増: 部品点数の増加は、より大きな制御盤を必要とし、盤自体のコストと設置スペースの確保という問題に直結します。

  • 配線工数の増大: 多数のブレーカーへの配線作業は時間がかかり、製造工数を圧迫します。これは人件費の上昇にもつながります。

  • 管理の煩雑化: 部品点数が増えれば、在庫管理やメンテナンス時の確認作業も煩雑になります。

これらの要因が複合的に絡み合い、盤の小型化という市場の要求と、増加し続けるトータルコストとの間でジレンマを抱えている現場は少なくありません。

グローバル化に対応必須の海外規格(UL規格)

製品を北米(アメリカ・カナダ)へ輸出する際には、UL規格(特に産業用制御盤に関するUL508A)への準拠が不可欠です。この規格では、盤の主電源開閉器に対して厳しい要件が定められており、特に短絡電流定格(SCCR)の管理が重要視されます。

従来のブレーカーで対応しようとすると、以下のような課題が生じがちです。

課題項目

具体的な内容

SCCRの算出・管理

盤全体のSCCR値を、使用する全部品の最低値に基づいて算出する必要があり、非常に複雑で手間がかかる。

適切な部品選定

高いSCCR値を持つブレーカーは高価であったり、サイズが大きくなったりする傾向があり、コストとスペースのバランスが難しい。

ドア開閉との連動

安全規格で求められる「ドアを開ける前に主電源をOFFにする」機構を、外部操作ハンドルや追加のアクセサリで構築する必要があり、設計が複雑化する。

このように、海外規格、特にUL規格への対応は、設計者にとって大きな負担となり、時間とコストを増大させる要因となっています。

厳格化する安全基準とロックアウト・タグアウト(LOTO)の徹底

生産現場における作業者の安全確保は、企業の社会的責任として最も優先されるべき事項です。日本の労働安全衛生規則においても、機械の点検・修理時には、電源を確実に遮断し、作業中に第三者が誤って電源を投入しないための措置(ロックアウト・タグアウト)を講じることが定められています。

しかし、一般的な配線用遮断器による安全対策には、依然としてリスクが潜んでいます。

  • 不確実なロックアウト: ブレーカーのトグルに後付けでロックアウト用アクセサリを取り付ける方式では、取り付けが不完全だったり、破損したりする可能性があります。

  • 誤操作のリスク: ロックアウトされていない状態で、誰かが誤ってブレーカーをONにしてしまうヒューマンエラーのリスクを完全には排除できません。

  • 複数人作業への対応: 複数の作業者が関わるメンテナンスでは、全員が安全を確認するまで電源が入らないように、各自がロック(施錠)する必要がありますが、ブレーカーでは対応が困難な場合があります。

メンテナンスや清掃時の感電災害を未然に防ぎ、作業者の安全をいかに確実に担保するかは、すべての生産現場における恒久的な課題です。この安全対策の不備は、重大な人身事故や設備のダウンタイムに直結する可能性があります。より詳細な指針については、厚生労働省が公開している「機械の包括的な安全基準に関する指針」もご参照ください。

ディスコネクトスイッチ SDシリーズとは 主な特徴とメリット

ディスコネクトスイッチ SDシリーズは、制御盤や機械設備の主電源を安全に「入り・切り」するために設計された手動の開閉器です。一般的な配線用遮断器(ブレーカー)が過電流や短絡から回路を保護する役割を担うのに対し、ディスコネクトスイッチは、メンテナンスや点検作業時に作業者の安全を確保するため、電源回路を確実に遮断することを主な目的としています。その優れた設計思想により、制御盤の課題である「コスト」「スペース」「安全性」を同時に解決します。

ここでは、多くの企業でSDシリーズが選ばれている理由となる、3つの主要な特徴とメリットを詳しく解説します。

盤内の省スペース化と工数削減でトータルコストを圧縮

制御盤の設計・製造において、部品コストだけでなく、盤のサイズや組み立てにかかる人件費もトータルコストを左右する重要な要素です。ディスコネクトスイッチ SDシリーズは、この課題を解決するために最適化されています。

従来の配線用遮断器と比較して、SDシリーズは非常にスリムでコンパクトな設計が特徴です。例えば、3極タイプでも幅35mmからという薄型化を実現しており、盤内の貴重なスペースを大幅に節約できます。これにより、制御盤自体の小型化が可能となり、盤の筐体コスト削減に直結します

さらに、取り付けや配線の工数削減にも大きく貢献します。標準で35mm幅のDINレールにワンタッチで取り付けられるため、ねじ止め作業の手間が省けます。端子部はフィンガープロテクション構造(IP20)に対応しており、安全性を確保しながら効率的な配線作業を行えます。これらの特長が組み立て時間を短縮し、人件費を含むトータルコストの圧縮を実現します。

UL規格に準拠した高い安全性と確実なロックアウト機能

工場の生産ラインや機械設備において、作業者の安全確保は最優先事項です。SDシリーズは、国際的な安全規格に準拠し、確実な安全対策を構築するための機能を備えています。

特に北米への輸出機械に必須となるUL規格(UL508)に標準で適合しており、海外向けの装置にも安心して採用できます。また、高い短絡電流定格(SCCR)に対応しているため、万が一の短絡事故が発生した際にも、盤全体の安全性を高く維持することが可能です。

さらに、メンテナンス時の安全対策として不可欠な「ロックアウト機能」も万全です。OFF位置でハンドル部分に南京錠(パドロック)を最大3個まで取り付けることができ、第三者による不意の電源投入を物理的に防止します。これにより、労働安全衛生規則で定められているロックアウト/タグアウト(LOTO)を確実に実施でき、点検・修理作業中の感電事故や機械の誤作動といった重大なリスクから作業者を守ります。

豊富な製品ラインナップと簡単な取り付け方法

ディスコネクトスイッチ SDシリーズは、様々な設備や用途の要求に応えるため、多彩な製品ラインナップを用意しています。これにより、オーバースペックによる無駄なコストを省き、最適な一台を選定することが可能です。

製品は、定格電流、極数、操作ハンドルの種類を自由に組み合わせることができます。主なラインナップは以下の通りです。

項目

仕様・種類

主な用途・特徴

定格電流

16A, 25A, 32A, 40A, 63A, 80A, 100A

小型の制御盤から大型の動力盤まで、負荷の大きさに合わせて選択可能。

極数

3極, 4極

三相モーターなどの動力回路には3極、N相(中性相)も同時に開閉したい場合には4極を選択。

操作ハンドル

盤内直接操作形、ドアカップリング形(パネル・ドア取付)

盤内での操作には直接操作形、盤の扉を開けずに外部から安全に操作したい場合はドアカップリング形が最適。

補助接点

常時開(NO)、常時閉(NC)の各種ユニット

スイッチのON/OFF状態をPLCや表示灯に出力するなど、システムの連携に利用可能。

取り付け方法も、前述のDINレール取り付けに加え、ねじによる直接取り付けにも対応しています。この柔軟性により、新規設計の盤だけでなく、既存設備の改修や安全対策の強化といった場面でも、スムーズかつ迅速に導入できる点が大きなメリットです。より詳しい製品情報については、IDEC株式会社の公式製品ページもご参照ください。

【導入事例】ディスコネクトスイッチ SDシリーズで実現した改善効果

ディスコネクトスイッチ SDシリーズは、その優れた機能性と高い安全性から、さまざまな業界で導入が進んでいます。ここでは、実際にSDシリーズを導入し、制御盤にまつわる課題を解決した3つの具体的な事例をご紹介します。自社の課題と照らし合わせながら、導入後の改善効果をイメージしてみてください。

事例1 工作機械メーカー 制御盤の小型化と海外規格対応

グローバルに事業を展開する工作機械メーカーA社では、顧客からの小型化要求と、北米市場向けの輸出対応が喫緊の課題となっていました。

導入前の課題 盤内スペースの圧迫と配線工数の増大

A社では従来、主電源の開閉に配線用遮断器(MCCB)を使用していました。しかし、MCCBはサイズが大きく、盤内の貴重なスペースを占有していました。特に、複数の安全機器や制御機器を搭載する必要がある最新の工作機械では、盤内レイアウトの自由度が低く、設計に多大な工数がかかっていました。さらに、配線作業も複雑で、組み立てコストの増大を招いていました。

導入後の効果 盤サイズ20%削減と組み立て時間の短縮

そこでA社は、主電源スイッチをディスコネクトスイッチ SDシリーズに変更。この決断が、設計から製造までのプロセスに大きな改善をもたらしました。

SDシリーズは、従来のMCCBに比べて非常にコンパクトです。主電源の開閉と短絡保護の役割を1台に集約できたことで、部品点数が削減され、盤内スペースに大幅な余裕が生まれました。結果として、制御盤全体のサイズを約20%も小型化することに成功。これにより、工作機械本体の省スペース化にも貢献し、顧客満足度を向上させることができました。

また、シンプルな構造と簡単な取り付け方法により、配線工数が大幅に削減され、組み立て時間も短縮。製造コストの圧縮とリードタイムの短縮という、二重のメリットを実現しました。

改善項目

導入前(配線用遮断器)

導入後(SDシリーズ)

盤内占有スペース

大きい(設計の自由度が低い)

小さい(盤サイズを20%削減)

部品点数・配線工数

多い(組み立て時間が長い)

少ない(組み立て時間を大幅に短縮)

海外規格対応

別途対応が必要な場合がある

UL規格に標準で準拠し、輸出がスムーズ

事例2 食品製造工場 メンテナンス時の安全性向上と作業効率化

徹底した衛生管理と安全性が求められる食品製造工場B社では、生産設備のメンテナンス時における作業者の安全確保が大きな課題でした。

導入前の課題 設備の電源遮断と誤操作によるリスク

B社の工場では、設備の清掃や部品交換といったメンテナンス作業が日常的に発生します。従来は、盤内のブレーカーをOFFにして作業を行っていましたが、誰かが誤って電源を再投入してしまう「不時投入」のリスクが常にありました。万が一、稼働中に作業員が機械に巻き込まれれば、重大な労働災害につながりかねません。そのため、作業員は常に不安を抱えながら作業する必要があり、精神的な負担が大きい状態でした。

導入後の効果 確実なロックアウトによる安全確保とダウンタイム削減

B社は、労働安全衛生規則で推奨されている「ロックアウト・タグアウト(LOTO)」を徹底するため、ディスコネクトスイッチ SDシリーズの導入を決定しました。SDシリーズの操作ハンドルは、OFF位置で南京錠(パドロック)による施錠が可能です。

導入後は、メンテナンス作業者自身が、自分の南京錠で電源スイッチをロックする運用を徹底。これにより、作業者本人以外は物理的に電源を投入できない状態を作り出し、第三者による意図しない電源投入のリスクを完全に排除しました。これは、労働安全衛生規則 第百八条で定められている「当該機械の起動装置に施錠し、そのかぎを自ら所持する」という措置を、確実かつ容易に実施できることを意味します。

安全が担保されたことで、作業員は安心してメンテナンス作業に集中できるようになり、作業効率が向上。結果として、設備のダウンタイム(停止時間)が短縮され、工場全体の生産性向上にも大きく貢献しました。

事例3 物流倉庫 自動化設備におけるコスト削減

大規模なコンベアラインなど、多数のモーターを使用する物流倉庫C社では、設備コストと管理の煩雑さが経営を圧迫していました。

導入前の課題 多数のブレーカーによるコストと管理の煩雑さ

C社の物流センターでは、数百メートルに及ぶコンベアラインが稼働しており、その駆動のために多数のモーターが設置されています。従来の設計では、モーターフィーダー(モーターへの電力供給回路)ごとに配線用遮断器(MCCB)と電磁接触器を設置する必要がありました。そのため、盤内はブレーカーで埋め尽くされ、部品コスト、在庫管理コスト、そして盤の設計・組み立てコストが膨大なものになっていました。

導入後の効果 部品点数削減によるトータルコストダウン

この課題を解決するためにC社が採用したのが、ディスコネクトスイッチ SDシリーズを用いた「グループインスタレーション」という手法です。これは、1台の大容量ディスコネクトスイッチで、複数のモーターフィーダー回路をまとめて保護・開閉する方式です。

これにより、従来はモーターの数だけ必要だった配線用遮断器を、1台のディスコネクトスイッチに集約することに成功。盤内の部品点数が劇的に減少し、制御盤そのものの小型化とコストダウンを実現しました。部品コストだけでなく、設計工数、組み立て工数、在庫管理コストといった、目に見えにくいコストも含めたトータルコストの大幅な削減を達成したのです。

さらに、緊急停止やメンテナンス時に、関連するコンベアラインの電源を一括で安全に遮断できるようになったため、操作性が向上し、管理も非常にシンプルになりました。

評価項目

導入前(個別保護)

導入後(グループインスタレーション)

主回路保護機器

モーターごとに配線用遮断器が必要

複数回路を1台のSDシリーズで集約

盤内スペース

広いスペースが必要

省スペース化を実現

トータルコスト

部品、設計、組立、管理コストが高い

部品点数削減により大幅なコストダウン

管理・操作性

個別操作で煩雑

一括遮断が可能でシンプル

ディスコネクトスイッチ SDシリーズのラインナップと選定ポイント

ディスコネクトスイッチ SDシリーズは、その豊富なラインナップにより、多様な制御盤の仕様や要求に柔軟に対応できることが大きな強みです。しかし、選択肢が多いからこそ「どの製品を選べば良いのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。この章では、お客様の用途に最適なSDシリーズを選び出すための具体的な方法と、製品ラインナップの詳細を分かりやすく解説します。適切な製品選定は、制御盤の安全性向上とコスト削減を両立させるための第一歩です。

定格電流と極数から選ぶSDシリーズの基本型式

ディスコネクトスイッチ SDシリーズの選定は、まず「定格電流」と「極数」を決定することから始まります。これらは制御盤の主回路の仕様に直接関わる、最も基本的な選定項目です。

定格電流は、スイッチが安全に通電できる最大の電流値を示します。主回路に流れる電流値以上の定格を持つ製品を選ぶ必要があります。SDシリーズは、小容量から大容量まで幅広い定格電流をカバーしています。

極数は、同時に開閉できる回路の数です。日本の三相3線式電源では、3極(3P)が最も一般的に使用されます。

以下に、代表的な定格電流と極数に対応する基本型式をまとめました。制御盤の仕様と照らし合わせ、最適な型式を選定してください。

定格電流 (A)

代表的な基本型式 (3極)

主な用途

30A

SD30

小型工作機械、コンベアラインの個別制御盤

60A

SD63

中型工作機械、ポンプ、ファン

100A

SD125

大型機械の主電源、小型分電盤

200A

SD225

プラント設備、生産ラインの主幹盤

400A

SD400

大規模設備の電源盤、ビル受電設備

600A

SD600

大容量モーター制御、プラントの主幹盤

より詳細な型式や技術仕様については、メーカーの公式カタログで確認することをおすすめします。 富士電機 ディスコネクトスイッチ SDシリーズ 製品情報

操作ハンドルの種類と選び方

操作ハンドルは、スイッチをON/OFFするための重要な部品であり、設置場所や安全要件によって適切なタイプを選ぶ必要があります。ハンドルの選定は、作業者の安全性と操作性に直結するため、慎重に行いましょう。SDシリーズでは、主に以下のハンドルが用意されています。

盤外操作ハンドル(ドアカップリングハンドル)

制御盤のドア(扉)を閉めたまま外部からスイッチを操作できるタイプです。ドアを開けずに電源をON/OFFできるため、安全性が高く、最も一般的に使用されます。ドアを開けると自動的にスイッチがOFFになるドアインターロック機能も備えています。

  • V形ハンドル(赤/黄): IEC規格で定められた緊急停止色です。非常停止用途や、危険な動力回路の主電源スイッチとして使用されます。視認性が高く、緊急時に素早く操作できます。

  • V形ハンドル(黒/灰): 一般的な主電源スイッチ用途で使用されます。

  • 南京錠による施錠: OFF位置で最大3個の南京錠を取り付け可能で、メンテナンス時の確実なロックアウト・タグアウト(LOTO)を実現します。

直接操作ハンドル

スイッチ本体に直接取り付けて操作するタイプです。主に盤内で操作する場合や、盤外ハンドルが設置できないコンパクトな盤に使用されます。

  • T形ハンドル: スイッチ本体の真上に取り付けます。省スペースでの設置に適しています。

ハンドル種類

主な特徴

推奨される用途

盤外操作ハンドル (V形 赤/黄)

高い視認性、ドアインターロック機能、緊急停止色

非常停止用途、海外輸出向け機械の主電源

盤外操作ハンドル (V形 黒/灰)

標準色、ドアインターロック機能

一般的な制御盤の主電源スイッチ

直接操作ハンドル (T形)

スイッチ本体に直接取付、省スペース

盤内での操作、小型盤、コスト優先の場合

用途に合わせた選定方法のチェックリスト

最適なディスコネクトスイッチ SDシリーズを選定するために、以下のチェックリストをご活用ください。これらの項目を一つずつ確認することで、要求仕様が明確になり、製品選定のミスを防ぐことができます。

  • □ 主回路の定格電流は?
    負荷となるモーターや装置の総電流値を確認し、余裕を持った定格電流の型式を選びます。

  • □ 必要な極数は?
    電源仕様を確認します。(例: 三相3線式 → 3極)

  • □ 適用する安全規格は?
    国内向けであれば電気用品安全法、北米向けであればUL規格、欧州向けであればCEマーキング(IEC規格準拠)など、仕向け地に合わせた規格対応が必要です。SDシリーズは主要な国際規格に対応しています。

  • □ スイッチの操作はどこから行うか?
    盤の扉を閉めたまま操作する場合は「盤外操作ハンドル」、盤内で操作する場合は「直接操作ハンドル」を選びます。

  • □ 緊急停止用途として使用するか?
    「はい」の場合は、視認性の高い赤/黄の盤外操作ハンドルを選定します。

  • □ 確実なロックアウトが必要か?
    メンテナンス時の安全確保のため、南京錠で施錠できるハンドルを選びます。同時に作業する人数分の南京錠が掛けられるか確認しましょう。

  • □ 補助接点は必要か?
    スイッチのON/OFF状態をPLC(シーケンサ)や表示ランプに出力したい場合は、補助接点ユニットを追加します。

  • □ 設置スペースに制約はあるか?
    盤内の奥行や幅を確認し、スイッチ本体とハンドルの寸法が収まるかを確認します。

このチェックリストを基に仕様を固めることで、機能、安全性、コストのバランスが取れた最適なディスコネクトスイッチ SDシリーズを選定することが可能になります。

従来の安全対策との比較 なぜSDシリーズが選ばれるのか

制御盤の安全対策として、従来は配線用遮断器(MCCB/安全ブレーカー)を主電源スイッチとして使用するケースが多く見られました。しかし、グローバルな安全基準への対応や、より高度な安全性の確保、そしてトータルコストの削減といった観点から、ディスコネクトスイッチが選ばれる場面が増えています。ここでは、従来の配線用遮断器と比較し、なぜ「ディスコネクトスイッチ SDシリーズ」が優れているのかを機能とコストの両面から徹底解説します。

機能と役割の違い ディスコネクトスイッチと配線用遮断器

ディスコネクトスイッチと配線用遮断器は、どちらも回路を開閉する機能を持っていますが、その主な目的と役割は根本的に異なります。この違いを理解することが、最適なデバイスを選定する上での第一歩です。ディスコネクトスイッチの主目的は「安全な断路」、配線用遮断器の主目的は「回路保護」であり、この思想の違いが機能の差に表れています。

項目

ディスコネクトスイッチ (SDシリーズ)

配線用遮断器 (MCCB)

主な目的

電源の確実な遮断(断路)

メンテナンスや点検時の作業者の安全確保を最優先。

回路の保護

過負荷や短絡といった異常電流から電気回路や機器を保護。

主機能

負荷開閉器(手動でのON/OFF操作)

過電流保護(自動遮断)および手動開閉

過電流保護機能

なし(ヒューズとの組み合わせで対応)

あり(機器の主機能)

ロックアウト機能

標準装備で極めて高い安全性

南京錠(パドロック)で確実に施錠可能。OFF位置でのみ施錠できる構造。

オプション品や付属品で対応。

機種によっては施錠が煩雑な場合や、意図せずONにできてしまうリスクが残るものもある。

主な準拠規格

UL、CSA、CCC、TÜV、CEマーキングなど、主要な国際規格に標準で対応

特に北米輸出に必須のUL508に準拠。

主に国内のJIS規格、電気用品安全法。

国際規格対応は機種による。

状態表示

ハンドルの向きでON/OFF状態が明確に判別可能。

レバーや表示窓で確認。トリップ状態(自動遮断)の表示が加わる。

このように、ディスコネクトスイッチ SDシリーズは、保全員や作業者が機械のメンテナンスを行う際に、意図しない電源投入(不時起動)を物理的に防止し、最高レベルの安全を確保することに特化したデバイスです。一方、配線用遮断器はあくまで回路保護が主眼であり、安全目的の電源遮断としては機能が不十分なケースがあります。

安全性とコストパフォーマンスの優位性

機能と役割の違いを踏まえると、SDシリーズが持つ「安全性」と「コストパフォーマンス」における優位性がより明確になります。これらは、現代の製造現場が抱える課題を解決するための重要な要素です。

より高いレベルの安全性を確保

SDシリーズは、国際的な安全規格で要求されるロックアウト/タグアウト(LOTO)を確実に行うために設計されています。特に、米国の労働安全衛生法(OSHA)や産業機械向け電気規格NFPA79では、動力源の確実な遮断とロックアウトが厳格に義務付けられており、SDシリーズはこの要求に完全に応えます。

  • 確実なロックアウト機構: ハンドルに直接南京錠を取り付け、OFF状態で物理的に固定できます。これにより、第三者による誤操作や、設備の意図しない再稼働を完全に防ぎます。複数の作業者が関わる場合でも、全員がロックを解除するまで電源をONにできないため、安全性が飛躍的に向上します。

  • ドアインターロック機能: 盤のドアが開いている状態ではスイッチをONにできず、またスイッチがONの状態ではドアを開けられないようにするインターロック機構を備えています。これにより、稼働中に不用意に充電部に触れてしまう感電リスクを排除します。

  • 明確な視認性: 大きく分かりやすいハンドルの向きによって、遠くからでも電源のON/OFF状態が一目瞭然です。これにより、状態の誤認によるヒューマンエラーを防ぎます。

トータルコストで見る優れた経済性

「安全性の高い機器は高価である」というイメージがあるかもしれませんが、ディスコネクトスイッチ SDシリーズは、初期の部品代だけでなく、設計・製造・管理の工数を含めたトータルコストで大きなメリットを生み出します

  • 部品コストの削減: 過電流保護機能を持たない分、同等クラスの電流容量を持つ配線用遮断器と比較して、SDシリーズ本体は安価な場合があります。必要な保護機能はヒューズで分担させることで、最適なコストでのシステム構築が可能です。

  • 工数と盤スペースの削減: SDシリーズはコンパクトな設計で、取り付けもDINレールにワンタッチで設置できるなど、非常に簡単です。これにより、盤内の省スペース化と組み立て工数の大幅な削減を実現します。制御盤自体を小型化できれば、盤の材料費や設置スペースのコストダウンにも繋がります。

  • 海外規格への標準対応: 北米や欧州向けの輸出機械を製造する場合、従来は規格に対応した高価な配線用遮断器を選定したり、追加の安全対策部品を取り付けたりする必要がありました。SDシリーズは標準でUL規格などに準拠しているため、追加コストや設計変更の手間なく、スムーズに海外展開を進めることができます

これらの理由から、ディスコネクトスイッチ SDシリーズは、単なる開閉器ではなく、安全性を最高レベルに高めながら、製造から運用までのトータルコストを最適化する戦略的なデバイスとして、多くの現場で選ばれているのです。より詳しい技術情報については、IDEC株式会社のディスコネクトスイッチ解説ページなどもご参照ください。

ディスコネクトスイッチ SDシリーズに関するよくある質問

ディスコネクトスイッチ SDシリーズの導入を検討されるお客様や、すでにご利用中のお客様から寄せられる代表的なご質問とその回答をまとめました。購入方法から技術的な仕様、メンテナンスに至るまで、疑問点の解消にお役立てください。

購入方法や価格について

Q. ディスコネクトスイッチ SDシリーズはどこで購入できますか?

A. IDEC株式会社の正規代理店、または制御機器を取り扱うオンラインストア(FA・制御機器専門商社など)にてご購入いただけます。お取引のある販売店様へお問い合わせいただくか、メーカー公式サイトの販売ネットワーク情報をご確認ください。在庫状況や納期については、各販売店へ直接お問い合わせをお願いいたします。

Q. 製品の価格を知りたいのですが。

A. ディスコネクトスイッチ SDシリーズはオープン価格となっております。価格は製品の型式(定格電流、極数など)やご購入いただく販売店によって異なります。正確な価格については、お近くの正規代理店へ見積もりをご依頼ください。

Q. 1台からでも購入可能ですか?

A. はい、多くの販売店で1台からご購入いただけます。ただし、販売店によっては最小注文単位が設定されている場合もございますので、詳細については購入を希望される販売店へ直接ご確認をお願いいたします。

技術的な仕様や配線方法を知りたい

Q. 製品の仕様書、外形寸法図、CADデータはどこで入手できますか?

A. 製品に関する各種技術資料は、IDEC株式会社の公式サイトからダウンロードいただけます。データシート(カタログ)、取扱説明書、2D CADデータ(DXF形式)、3D CADデータ(STEP形式)などが用意されており、設計や盤製作にすぐにご活用いただけます。

詳細な資料は、以下のメーカー公式サイトをご参照ください。
IDEC株式会社 ディスコネクトスイッチ SDシリーズ 製品情報

Q. 配線する際の注意点を教えてください。

A. 安全かつ確実に製品をご使用いただくため、配線時には以下の点にご注意ください。

  • 適合電線と圧着端子: 仕様書に記載されている適合電線サイズと、推奨される圧着端子を使用してください。不適合なものを使用すると、接続不良や過熱の原因となります。

  • 端子ねじの締め付けトルク: 端子ねじは、取扱説明書に記載の規定トルクで確実に締め付けてください。締め付けが弱いと接触不良や発熱、強すぎると端子部破損の恐れがあります。

  • 電源側と負荷側の接続: 本体に表示されている電源側(LINE)と負荷側(LOAD)を正しく接続してください。逆接続は意図した性能を発揮できないだけでなく、危険な状態を招く可能性があります。

上記は基本的な注意点です。作業前には、必ず製品に付属の取扱説明書をご確認ください。

Q. どのような安全規格に対応していますか?

A. SDシリーズは、主要な国際規格に準拠しており、グローバルなビジネス展開をサポートします。主な対応規格は以下の通りです。

  • UL規格 (UL508): 北米向けの産業用制御機器の安全規格です。

  • CSA規格: カナダ向けの安全規格です。

  • TÜV認証 (EN/IEC規格): 欧州をはじめ世界中で広く認められている安全規格です。

これにより、輸出向けの装置や制御盤にも安心してご採用いただけます。対応規格の詳細は、製品カタログや仕様書にてご確認ください。

メンテナンスは必要ですか

Q. 定期的なメンテナンスや部品交換は必要でしょうか?

A. ディスコネクトスイッチ SDシリーズは、高い信頼性を備えており、基本的にメンテナンスフリーでご使用いただけるように設計されています。可動接点部にはセルフクリーニング機構が採用されており、長期間にわたり安定した接触信頼性を維持します。

Q. 点検を行う場合、どのような項目を確認すればよいですか?

A. 装置の定期点検などの際に状態を確認する場合は、以下の項目を目安にしてください。なお、点検作業は必ず設備の主電源を遮断し、テスター等で無電圧であることを確認してから安全に行ってください。

点検項目

確認内容

外観の確認

本体やハンドルに、割れ、欠け、著しい変色や汚損がないかを目視で確認します。

取り付け状態

本体および操作ハンドルが、DINレールやパネルにしっかりと固定されており、ガタつきがないことを確認します。

端子部の確認

電線接続部の端子ねじに緩みがないか、トルクドライバーを用いて規定トルクで増し締めを行います。電線の被覆に傷や変色がないかも確認します。

操作性の確認

ハンドルを操作し、ON/OFFがスムーズかつ確実に行えるかを確認します。引っ掛かりや異音がないかを確認してください。

万が一、異常が発見された場合は、製品の交換をご検討ください。

まとめ

本記事では、ディスコネクトスイッチ SDシリーズがもたらすコスト削減と安全性向上の効果を、導入事例を交えて解説しました。盤内の省スペース化と工数削減でトータルコストを圧縮しつつ、UL規格に準拠した確実なロックアウト機能で作業者の安全を確保します。これらの理由から、SDシリーズは制御盤の小型化、海外規格対応、そしてメンテナンス時の安全対策において最適な選択肢です。貴社の課題解決の一助として、ぜひ導入をご検討ください。

企業情報

オルブライト・ジャパン
株式会社

  • 〒353-0004
    埼玉県志木市本町6-26-6-101
  • TEL.048-485-9592
  • FAX.048-485-9598

ED・SD・SU・Busbarシリーズ

  • DCコンタクタの輸入販売
  • 非常用電源遮断スイッチの輸入販売

パワーリレー・スイッチ・直流電磁接触器 コンタクタ・汎用リレー・車載リレー 高電圧リレーなどに関する製品のお問い合わせ、お気軽にご連絡ください。

イギリス本社
オルブライト・
インターナショナル
オフィシャルサイト

ページの先頭へ