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ディスコネクトスイッチ EDシリーズで工場の安全対策は万全!選ばれる理由と導入メリット

2025/06/24


労働安全衛生規則に対応し、工場の安全性を高めるディスコネクトスイッチ。中でもID-Techno製「EDシリーズ」は、なぜ多くの現場で選ばれるのでしょうか。その理由は、確実な電源遮断による最高水準の安全性、省スペースなコンパクト設計、優れた操作性、豊富なラインナップにあります。本記事を読めば、EDシリーズ導入のメリットから自社に最適なモデルの選び方、具体的な活用事例まで、その全貌がわかります。

工場の安全に不可欠なディスコネクトスイッチとは

工場の生産設備や機械を安全に運用する上で、電源の管理は最も重要な要素の一つです。ディスコネクトスイッチ(断路器・開閉器)は、機械や制御盤の主電源を物理的に「入り(ON)」または「切り(OFF)」するための装置です。単なる電源スイッチとは異なり、メンテナンスや緊急時に作業者の安全を確保するため、電源を確実に遮断することを最大の目的としています。万が一の事故を未然に防ぎ、法令を遵守した安全な作業環境を構築するために、ディスコネントスイッチはあらゆる産業の現場で不可欠な安全装置として位置づけられています。

労働安全衛生規則で求められる電源の遮断

日本国内の事業者は、労働安全衛生法および関連する労働安全衛生規則(安衛則)を遵守する義務があります。特に、機械のメンテナンスや修理作業における安全確保については、安衛則で厳格に定められています。

安衛則第131条では、機械の清掃、給油、検査、修理などの作業を行う際に、労働者に危険が及ぶおそれがある場合、機械の運転を停止することが義務付けられています。さらに、運転を停止しただけでは不十分であり、第三者が誤って機械を起動させることを防ぐための措置を講じなければなりません。この措置の具体的な方法として「起動装置に錠を掛けること(ロックアウト)」が明記されています。

ディスコネクトスイッチは、この「ロックアウト」を物理的に可能にするための重要な役割を担います。ハンドル部分に南京錠(パドロック)を取り付けることで、作業者本人以外は電源を投入できない状態を作り出し、法令で求められる最高水準の安全対策を実現します。(出典: e-Gov法令検索 労働安全衛生規則

メンテナンスや非常時における重要な役割

ディスコネクトスイッチは、法令遵守だけでなく、日々の作業や予期せぬトラブルにおいて、作業者の命と設備を守るために極めて重要な役割を果たします。

例えば、定期メンテナンスの際には、作業者が機械の内部に手を入れることも少なくありません。もしこの時に誰かが誤って電源を入れてしまえば、感電や機械への巻き込まれといった重大な労働災害に直結します。ディスコネクトスイッチで電源を遮断し、作業者自身が鍵を管理する「ロックアウト」を行うことで、このような「不意の起動」による事故リスクを根本から排除し、安心して作業に集中できる環境を確保します。

また、機械の故障や火災といった非常事態が発生した際には、一刻も早く、そして確実に主電源を遮断する必要があります。制御盤の扉を開けずに外部から直接操作できるディスコネクトスイッチは、緊急時でも迅速かつ直感的な操作を可能にし、被害の拡大を最小限に食い止めます。

このように、ディスコネクトスイッチは平常時のメンテナンスと緊急時の両面で、工場の安全体制を支える基盤となるのです。

状況

潜在的なリスク

ディスコネクトスイッチによる安全対策

メンテナンス・清掃・修理時

第三者による誤操作、機械の不意の起動、感電、巻き込まれ

電源を物理的に遮断し、ハンドルをロックアウト(施錠)することで、作業完了まで電源投入を不可能にする。

機械の故障・火災などの非常時

電気系統のトラブル拡大、二次災害の発生、救助活動の遅延

制御盤の外部から迅速に主電源を遮断し、被害の拡大を防止。安全な状態を速やかに確保する。

ID-Techno製ディスコネクトスイッチ EDシリーズの概要

工場の生産設備や制御盤の安全を確保するために不可欠な、ID-Techno製のディスコネクトスイッチ「EDシリーズ」。このシリーズは、メンテナンス時や緊急時に電源回路を確実かつ安全に遮断することを目的として設計された、高性能なスイッチです。作業者の安全を守り、設備の損傷を防ぐための重要な役割を担います。その信頼性の高さと優れた機能性から、工作機械、半導体製造装置、食品加工ラインなど、幅広い産業分野で採用されています。

EDシリーズは、単に電源をON/OFFするだけでなく、ロックアウト機能や高い保護構造を備えることで、労働安全衛生規則で定められた要件を満たし、企業のコンプライアンス遵守にも貢献します。

EDシリーズの主な特徴と機能

ID-TechnoのEDシリーズは、現場のニーズを徹底的に分析し、安全性、省スペース性、操作性を高い次元で融合させた製品です。その主な特徴と機能は以下の通りです。

特徴

詳細とメリット

確実な回路遮断機構

強制開離機構を内蔵しており、接点が溶着した場合でもハンドル操作によって強制的に接点を引き離します。万が一の事態でも確実に電源を遮断し、作業者の安全を確保します。

コンパクト設計

制御盤内の限られたスペースにも効率的に設置できるよう、小型化を追求。パネル取り付けタイプとDINレール取り付けタイプの両方で、省スペース化と設計の自由度向上に貢献します。

優れた操作性と視認性

大型で操作しやすいハンドルを採用。ON(赤)/OFF(緑)の状態が明確に色で表示されるため、遠くからでもスイッチの状態を一目で確認でき、誤操作を防止します。

ロックアウト/タグアウト対応

OFF位置でハンドルを南京錠(パドロック)で施錠できるロックアウト機能を標準装備。最大3つの南京錠を取り付け可能で、複数人でのメンテナンス作業時も安全を確保します。

豊富なオプション

補助接点ユニットや各種ハンドル、シャフトなど、多彩なオプション品を用意。設備の仕様や用途に合わせて、柔軟なカスタマイズが可能です。

高い保護構造と国際規格への適合

EDシリーズは、過酷な産業環境でも安心して使用できるよう、堅牢な設計と高い保護構造を誇ります。また、グローバルなビジネス展開にも対応できるよう、主要な国際規格に適合しています。

端子部はフィンガープロテクション構造(IP20)となっており、充電部への意図しない接触を防ぎ、感電リスクを低減します。さらに、パネル前面に取り付けるハンドル部分は、防塵・防水性に優れたIP66の高い保護構造を実現。粉塵や水の侵入が懸念される環境でも、安定した性能を維持します。

EDシリーズが適合する主な安全規格は以下の通りです。

規格名

規格の概要と対象地域

IEC/EN 60947-3

スイッチ、断路器、開閉器などに関する国際電気標準会議(IEC)の規格。主に欧州で要求されます。

UL 508

産業用制御機器に関する米国の安全規格。北米(アメリカ、カナダ)への輸出機械には必須の認証です。

CSA C22.2 No.14

カナダ規格協会(CSA)が定める産業用制御機器の規格。UL規格と合わせて北米市場で広く認知されています。

CCC (China Compulsory Certification)

中国強制認証制度。中国国内で販売・使用される対象製品に義務付けられている認証です。

これらのグローバルな安全規格に準拠していることにより、EDシリーズを組み込んだ装置や設備は、国内市場だけでなく、海外市場へもスムーズに展開することが可能です。

なぜディスコネ-クトスイッチ EDシリーズが選ばれるのか

市場には数多くのディスコネクトスイッチが存在しますが、その中でもIDEC(旧ID-Techno)製のEDシリーズは、多くの設計者や現場担当者から絶大な信頼を得ています。なぜEDシリーズは選ばれ続けるのでしょうか。その理由は、安全性、省スペース性、操作性、そしてラインナップの豊富さという、製品に求められる重要な要素を極めて高いレベルで満たしているからです。ここでは、EDシリーズが選ばれる4つの具体的な理由を詳しく解説します。

理由1 確実な電源遮断による最高水準の安全性

工場の安全対策において、最も重要なのは「確実性」です。EDシリーズは、万が一の事態でも作業者の安全を確保するための機構を複数備えています。

第一に、接点が溶着してしまった場合でも、ハンドル操作によって強制的に接点を引き離す「強制開離機構」を搭載しています。これにより、機器の故障時でも確実に電源を遮断し、感電などの重大な事故を防ぎます。また、ハンドルのON/OFF表示と内部の接点状態が完全に一致することを保証する「ダイレクトオープニングアクション(直接開路動作機能)」は、IEC 60947-5-1規格に適合しており、表示の信頼性が極めて高いのが特徴です。

さらに、メンテナンス作業中の安全を確保するロックアウト機能も万全です。OFF位置でハンドルを南京錠(パドロック)で最大3個まで施錠できるため、複数人での作業時でも第三者による不意の電源投入(再通電)を物理的に防止し、労働安全衛生規則で定められる「施錠等の措置」を確実に行うことができます。これらの機能により、EDシリーズは最高水準の安全性を実現しています。

理由2 コンパクト設計で省スペース化を実現

近年、製造装置や制御盤の小型化・高機能化が進み、盤内のスペース効率は設計における重要な課題となっています。EDシリーズは、業界トップクラスの短胴サイズを実現したコンパクトな設計が大きな特徴です。

下の表に示すように、従来製品や他社製品と比較して盤内奥行きを大幅に削減できるため、制御盤自体の薄型化や小型化に直接貢献します。これにより、設置スペースが限られた場所への導入や、盤内での高密度な機器配置が可能となり、設計の自由度を大きく向上させます。

特長

具体的なメリット

短胴設計

制御盤の薄型化・小型化に貢献し、設備全体の省スペース化を実現します。

省スペース

盤内の機器配置の自由度が高まり、配線作業やメンテナンススペースの確保が容易になります。

高密度実装

限られたスペースに多くの機能を集約でき、装置の高機能化をサポートします。

この卓越した省スペース性能は、新規設備の設計はもちろん、既存設備の改修においても大きなアドバンテージとなり、多くの技術者から高く評価されています。

理由3 簡単な取り付けと優れた操作性

EDシリーズは、現場での作業しやすさも徹底的に追求されています。取り付け方法は、一般的な「パネル取り付け」に加えて、工具を使わずにワンタッチで取り付け可能な「DINレール取り付け」にも対応しています。

特にDINレール取り付けタイプは、取り付け工数を大幅に削減し、作業効率を格段に向上させるため、多台数のスイッチを設置する際に絶大な効果を発揮します。また、配線作業を考慮した端子部の構造は、接続ミスを防ぎ、安全で確実な結線をサポートします。

操作性においては、人間工学に基づいて設計されたハンドルが際立ちます。大きくて握りやすい形状は、作業用手袋(グローブ)を着用したままでもスムーズかつ確実に操作可能です。ハンドルの色分け(緊急遮断用の赤/黄、主電源用の黒/グレー)と明確なON/OFF表示により、スイッチの状態を一目で直感的に把握でき、誤操作のリスクを低減します。この優れた操作性は、日常的な操作だけでなく、緊急時の迅速な対応にも貢献します。

理由4 豊富なラインナップであらゆるニーズに対応

工場の設備や装置は、その用途や規模によって求められる電気的仕様が大きく異なります。EDシリーズは、こうした多様なニーズに応えるために、極めて幅広い製品ラインナップを取り揃えています。

定格電流は16Aの小容量から100Aの大容量まで、極数は3極を基本に4極や6極も用意。さらに、ハンドルの色や形状、補助接点の有無など、細かな仕様を選択できます。これにより、工作機械の制御盤から、食品工場の生産ライン、半導体製造装置、空調設備に至るまで、あらゆる設備やシステムの仕様に最適なモデルを選定することが可能です。

選定項目

選択肢の例

取り付け方式

パネル取り付けタイプ / DINレール取り付けタイプ

定格電流

16A, 25A, 32A, 40A, 63A, 80A, 100A

極数

3極, 4極, 6極

ハンドル

色(赤/黄、黒/グレー)、形状(I形、P形)

オプション

補助接点(1NO, 1NC, 1NO+1NC)、端子カバー

この選択肢の多さこそが、EDシリーズが特定の用途に限定されず、幅広い業界で標準的に採用されている理由の一つです。詳細な製品情報については、製造元であるIDEC株式会社の公式サイトもご参照ください。
引用元: IDEC株式会社 ディスコネクトスイッチ EDシリーズ 製品情報

ディスコネクトスイッチ EDシリーズの導入メリット

ID-Techno製のディスコネクトスイッチ EDシリーズを導入することは、単に安全規制を満たすだけでなく、工場の生産性や信頼性を向上させる多くの具体的なメリットをもたらします。ここでは、安全性、作業性、経済性の観点から、EDシリーズがもたらす価値を詳しく解説します。

感電や火災事故のリスクを大幅に低減

工場の安全対策において、最も避けなければならないのが感電や火災といった重大事故です。ディスコネクトスイッチ EDシリーズは、その根本原因となる「意図しない通電」を物理的に遮断することで、事故のリスクを限りなくゼロに近づけます。

一般的な配線用遮断器(ブレーカー)が過電流や短絡(ショート)からの回路保護を主目的とするのに対し、ディスコネクトスイッチは作業者の安全確保を最優先に設計されています。EDシリーズのハンドルをOFFにすると、内部の接点が物理的に大きく離れ、回路が確実に切り離されます。この「目に見える遮断」により、作業者は電源が確実に切れていることを視認でき、安心してメンテナンスや点検作業に従事できます。万が一の誤操作や機器の故障による通電を防ぎ、感電事故やアークフラッシュによる火傷、さらには設備焼損による火災といった最悪の事態を未然に防ぎます。

ロックアウト機能でメンテナンス作業の安全を確保

設備のメンテナンスや清掃時には、作業中に第三者が誤って電源を入れてしまう「不時起動」が重大な労働災害につながる可能性があります。このリスクを排除するために不可欠なのが「ロックアウト」です。

ディスコネクトスイッチ EDシリーズは、ハンドル部分に南京錠(パドロック)を掛けることができるロックアウト機能を標準で装備しています。作業者自身が持参した鍵でスイッチを施錠することにより、本人の許可なく誰も電源を投入できなくします。これにより、「誰かがスイッチを入れるかもしれない」という不安から解放され、作業に集中できる安全な環境が構築されます。

この方法は、厚生労働省が定める「機械の包括的な安全基準に関する指針」においても推奨されているエネルギー管理の基本であり、EDシリーズを導入することで、国際基準の安全管理(ロックアウト・タグアウト/LOTO)を容易に実現できます。複数の作業者が関わる場合でも、全員がそれぞれ施錠することで、全員の作業完了が確認されるまで電源が入らない、より高度な安全体制を築くことが可能です。

作業効率の向上とダウンタイムの削減

安全対策の強化は、一見すると作業の手間を増やすように思われがちですが、ディスコネクトスイッチ EDシリーズの導入は、結果として工場の生産性向上とコスト削減に直結します。安全が確保された環境は、作業の質とスピードを両立させる基盤となるのです。

安全な作業環境は、作業者の心理的負担を軽減し、迅速かつ正確な作業を可能にします。また、EDシリーズの明確なON/OFF表示とシンプルな操作性は、電源状態の確認や操作にかかる時間を短縮します。これにより、設備のメンテナンスや部品交換に伴う計画的なダウンタイム(設備停止時間)を最小限に抑えることができます。

さらに重要なのは、予期せぬトラブルによる「非計画的ダウンタイム」の削減です。誤通電による機器の故障や人身事故を防ぐことで、突発的な生産ラインの停止という最も大きな損失を回避できます。安全への投資は、長期的に見て企業の収益性を高める効果的な手段と言えるでしょう。

評価項目

導入前の課題

EDシリーズ導入後のメリット

安全性

ブレーカーOFFだけでは不安。誤操作による感電・火災リスク。

物理的な電源遮断とロックアウトで、重大事故のリスクを根本から排除。

作業効率

電源状態の確認に時間がかかる。安全確認手順が煩雑。

明確な視認性と簡単な操作で、メンテナンス準備・作業時間を短縮。

生産性(ダウンタイム)

誤操作による機器故障で、ラインが長時間停止するリスク。

計画ダウンタイムを短縮し、非計画ダウンタイムの発生を未然に防止。

コスト

事故発生時の修繕費、補償、生産機会の損失。

事故防止によるトータルコストの削減。安全投資が利益に貢献。

用途に合わせたEDシリーズの製品ラインナップと選び方

ID-Techno製のディスコネントスイッチ EDシリーズは、その豊富なラインナップにより、あらゆる産業機械や制御盤のニーズに対応可能です。しかし、最高の安全性を実現するためには、用途や環境に最適なモデルを正しく選定することが不可欠です。ここでは、制御盤の仕様や接続する負荷に合わせて、最適なEDシリーズの製品を選ぶための具体的なポイントを詳しく解説します。

パネル取り付けタイプとDINレール取り付けタイプ

EDシリーズには、主に「パネル取り付けタイプ」と「DINレール取り付けタイプ」の2種類の取り付け方法があります。設置場所や操作方法に応じて、適切なタイプを選択することが最初のステップとなります。

制御盤の扉に設置して外部から操作するか、盤内に収めて回路ごとに保護するか、その用途によって最適なタイプは異なります。それぞれの特徴を理解し、設計思想に合ったものを選びましょう。

タイプ

特徴

主な用途

メリット

パネル取り付けタイプ

制御盤の扉面や装置の操作パネルに直接ハンドルを取り付け、盤内のスイッチ本体とシャフトで連結する方式。

  • 制御盤全体の主電源スイッチ

  • 機械の緊急停止用スイッチ

  • 盤外から頻繁に操作する必要がある回路

  • 外部からの直接操作が可能で、視認性が高い

  • 赤/黄色のハンドルで緊急停止用途を明確化できる

  • 盤の扉を開けずに電源を遮断できる

DINレール取り付けタイプ

制御盤内のDINレール(35mm幅)にワンタッチで取り付けられるコンパクトな方式。

  • モーターやヒーターなど、個別の負荷回路の保護

  • 盤内配線の分岐点における電源遮断

  • メンテナンス時に部分的に電源を切りたい箇所

  • 取り付けが簡単で、工数を削減できる

  • 盤内での省スペース化に貢献する

  • 盤内レイアウトの自由度が高い

定格電流や極数から最適なモデルを選定する方法

ディスコネクトスイッチの選定において、最も重要なのが定格電流と極数です。これらを誤ると、装置の性能を損なうだけでなく、過熱による焼損や火災といった重大な事故につながる危険性があります。必ず接続する負荷の仕様を確認し、適切なモデルを選定してください。

定格電流(A)の選定

定格電流とは、そのスイッチが安全に通電できる電流の最大値を示します。選定の際は、接続するモーターやヒーターなどの負荷が通常時に消費する電流(定格負荷電流)だけでなく、起動時に一時的に流れる大きな電流(突入電流)も考慮する必要があります。一般的に、負荷の定格電流に対して1.25倍以上の余裕を持たせたモデルを選定することが推奨されます。EDシリーズは16Aから125Aまで幅広い定格電流のモデルをラインナップしており、小規模な装置から大規模な生産設備まで対応可能です。

極数(P)の選定

極数とは、同時に開閉できる回路の数を示します。使用する電源の種類や回路構成に合わせて選びます。

  • 3極(3P): 三相3線式(R, S, T)の動力回路で最も一般的に使用されます。工作機械の主電源や三相モーターの制御に最適です。

  • 4極(4P): 三相4線式(R, S, T, N)の回路や、アース線も同時に遮断したい場合に使用します。安全要求レベルの高い設備で採用されることがあります。

  • 補助接点の追加: スイッチの開閉状態をPLC(プログラマブルロジックコントローラ)に取り込んだり、表示ランプを点灯させたりする場合には、補助接点付きのモデルや、後から追加できるオプションの補助接点ユニットを選定します。

最適なモデルの選定に迷った際は、IDEC株式会社が提供する公式製品情報やカタログで詳細な仕様を確認することをお勧めします。

ハンドルやオプション品の選定ポイント

スイッチ本体だけでなく、操作ハンドルやオプション品も、安全性と利便性を大きく左右する重要な要素です。用途に合わせて最適な組み合わせを選択しましょう。

操作ハンドルの種類と選び方

EDシリーズには、操作性や視認性を考慮した複数のハンドルが用意されています。

  • 標準ハンドル(I形ハンドル): 最も一般的なタイプのハンドルです。黒色が標準ですが、非常停止用途には視認性の高い赤/黄色のハンドルが推奨され、安全規格への適合にも貢献します。

  • ピストルグリップハンドル(P形ハンドル): 握りやすい形状で、大きな力でも確実に操作できます。特に定格電流の大きいモデルや、グローブを着用して操作する現場に適しています。

安全性を高めるロックアウト機能

メンテナンスや清掃時の不意な電源投入は、感電や挟まれ事故の原因となります。EDシリーズのハンドルは、OFFの位置で南京錠(パドロック)を取り付けて施錠できるロックアウト機能を標準で備えています。これにより、作業者が安全に作業を完了するまで、第三者による電源投入を物理的に防止できます。複数の作業者が関わる場合でも、最大3つの南京錠を掛けることができ、全員が安全を確認するまで電源をロックし続ける「タグアウト」手順にも対応します。

便利なオプション品

基本機能に加えて、各種オプション品を組み合わせることで、より高度な安全システムを構築できます。

  • 補助接点ユニット: スイッチのON/OFF状態を電気信号として出力します。設備の稼働状態の遠隔監視や、他の機器とのインターロック回路の構築に不可欠です。

  • シャフト(延長軸): パネル取り付けタイプで使用し、盤の扉に取り付けたハンドルと盤の奥に設置したスイッチ本体を連結します。盤の奥行きに合わせて、様々な長さから選択可能です。

  • 端子カバー: スイッチの充電部を覆い、作業者の偶発的な接触による感電を防ぎます。保護構造(IP等級)を向上させ、粉塵や水滴からの保護にも役立ちます。

これらのオプション品を適切に活用することで、EDシリーズは単なる電源スイッチとしてだけでなく、工場の安全システムの中核を担うコンポーネントとして機能します

ディスコネクトスイッチ EDシリーズの導入事例

ID-Techno製のディスコネクトスイッチ EDシリーズは、その高い安全性と優れた操作性から、様々な業界の生産現場で採用されています。ここでは、具体的な導入事例を3つご紹介し、各現場が抱えていた課題をEDシリーズがどのように解決したのかを詳しく解説します。自社の安全対策を見直す際の参考にしてください。

事例1 工作機械の制御盤における安全対策

金属加工を行う工場の工作機械では、メンテナンスや刃物交換の際に作業者が機械に接近する必要があります。しかし、従来のブレーカーによる電源遮断では、誤って誰かが電源を再投入してしまうリスクが常に付きまとっていました。また、制御盤内のスペースが限られており、安全装置の増設が難しいという課題も抱えていました。

そこで、制御盤の主電源部にパネル取り付けタイプのEDシリーズを導入。これにより、作業者自身が南京錠で確実にロックアウトできるようになり、第三者による不意な電源投入を物理的に防止できるようになりました。コンパクトな設計のため、既存の制御盤にもスムーズに設置でき、省スペース化にも貢献。明確なON/OFF表示は、電源状態の誤認を防ぎ、作業前の安全確認をより確実なものにしました。

項目

詳細

導入前の課題

  • メンテナンス時に第三者が誤って電源を投入するリスクがあった。

  • 従来のブレーカーでは施錠(ロックアウト)が困難だった。

  • 制御盤内のスペースが限られており、大型の安全装置は設置できなかった。

導入後の効果

  • 南京錠による確実なロックアウトが可能になり、メンテナンス作業の安全性が飛躍的に向上した。

  • コンパクトなEDシリーズの採用により、限られたスペースへの設置が実現した。

  • ハンドルの明確な表示により、電源状態の視認性が高まり、ヒューマンエラーを削減できた。

事例2 食品工場の生産ラインでの活用

HACCP(ハサップ)に準拠した衛生管理が求められる食品工場では、生産ラインの機器を頻繁に高圧洗浄します。そのため、設置する機器には高い防水・防塵性能が不可欠です。ラインの清掃やメンテナンス時には、不意な機械の再起動を確実に防ぐ必要があり、従来のスイッチでは安全対策が不十分でした。

この課題に対し、保護構造IP66/67に対応したEDシリーズを選定し、生産ラインの各所に設置。これにより、高圧洗浄にも耐えうる高い密閉性を確保しつつ、作業者が手元で確実に電源を遮断し、施錠できる環境を構築しました。結果として、衛生基準を遵守しながら、清掃・メンテナンス作業時の感電や巻き込まれ事故のリスクを大幅に低減。作業の安全性と生産性の両立を実現しました。

項目

詳細

導入前の課題

  • 高圧洗浄を行うため、スイッチに高い防水・防塵性能が求められた。

  • 清掃やメンテナンス時の不意な再起動による事故リスクがあった。

  • 作業者が手元で安全に電源を遮断・ロックアウトできる仕組みが必要だった。

導入後の効果

  • 保護構造IP66/67により、厳しい洗浄環境でも安心して使用できるようになった。

  • 作業者自身によるロックアウトが徹底され、清掃・メンテナンス時の安全が確保された。

  • 衛生管理と労働安全の両面で基準を満たし、工場の信頼性が向上した。

事例3 半導体製造装置のメンテナンス時の安全確保

クリーンルーム内で稼働する半導体製造装置は、極めて精密な制御が求められ、わずかなダウンタイムも許されません。装置のメンテナンス時には、特定のユニットのみ電源を切り離す必要がありますが、その際の安全性と作業効率の向上が課題でした。また、国際的な安全規格への準拠も必須でした。

この工場では、UL規格やTÜV認証など国際規格に適合したDINレール取り付けタイプのEDシリーズを、装置のメイン電源部および各機能ユニットの分岐電源部に採用。これにより、装置全体を停止させることなく、メンテナンス対象のユニットだけを安全かつ確実に電源から切り離すことが可能になりました。明確な操作感と施錠機能は、クリーンルーム内でのヒューマンエラーを防止し、ダウンタイムを最小限に抑制。装置全体の安全レベルが向上し、顧客からの評価にも繋がりました。

項目

詳細

導入前の課題

  • メンテナンス時に装置全体を停止させる必要があり、ダウンタイムが長かった。

  • ユニット単位での安全な電源遮断が困難だった。

  • 国際的な安全規格に適合する信頼性の高いスイッチが求められた。

導入後の効果

  • ユニット単位での電源遮断が可能になり、メンテナンスの効率が大幅に向上した。

  • 確実なロックアウト機能により、精密作業時の安全性が確保された。

  • 国際規格適合品であるため、装置の海外輸出にも対応でき、製品競争力が高まった。

より詳細な製品情報については、製造元の公式ページをご参照ください。
IDEC株式会社 ディスコネクトスイッチ製品情報

まとめ

本記事では、工場の安全対策に不可欠なID-Techno製ディスコネクトスイッチ EDシリーズを解説しました。EDシリーズが選ばれる理由は、確実な電源遮断による最高水準の安全性、省スペースなコンパクト設計、簡単な取り付けと優れた操作性にあります。豊富なラインナップから最適な製品を選ぶことで、感電や火災のリスクを大幅に低減し、ロックアウト機能でメンテナンス作業の安全を確保します。工場の安全レベルと生産性向上に貢献するEDシリーズの導入をぜひご検討ください。

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